タイトル未定 - 2話
雲は綿菓子のように西から東へ流れている。
俺は思わず駆け出すと、そのままの勢いで親戚のおばさんの家に雪崩れ込んだ。
家の奥からおばさんの声で「お帰り」と聞こえてきたが、そのまま自分の荷物が置いてある客間に入っていった。
軽く3人分くらい入るんじゃないかと思えるドラムバッグの中を手探りで財布を探していると、おばさんが部屋に入ってきた。
「なんだい、帰ってくるなり挨拶もしないで」
「ごめ〜ん、財布忘れちゃってさ」
「ばかだねぇ」
おばさんはクスクス笑いながら台所のほうへ戻っていった。